鈴木常三郎保教
  〜5対目の狛犬は蔵元の裏にひっそりと


熊野神社の狛犬

熊野神社(神奈川県相模原市緑区根小屋702)は相模原市の山間部、津久井湖にほど近い所にあります。

江戸狛犬で最初の子持ち狛犬は文化6歳巳5月吉日に北野神社(文京区春日)へ奉納されたものですが、その石工が鈴木常三郎保教です。
また、江戸狛犬の特長である尾流れ、これは小野照崎神社(台東区下谷)の拝殿前にいる「明和元甲申歳九月吉祥日」に奉納された石屋長八によるものが最初と言われています。
しかし、その明和元年(1764)から文化年間館までの約40年間、尾流れの狛犬は全く現れませんでした。
再び完全に尾の下がった狛犬(尾流れ)が現れたのが、北野神社(文京区春日)の子持ち狛犬です。
これ以降、徐々に尾の流れた狛犬が増えてゆき、江戸狛犬の特長とまで言われるようになりました。
従って、
鈴木常三郎保教は子持ち狛犬の祖、尾流れタイプを流行させたインフルエンサーと言えるかもしれません。
その鈴木常三郎保教は北野神社を含めて4社で確認されていいましたが、先日5対目の狛犬に出会いました。
苔に覆われた小型の狛犬ですが、とても丁寧によく彫られています。
尾は左右へきれいに分かれて流れています。
苔に覆われてはいるものの台座の銘はハッキリ確認できました。
「文政十丁亥 正月」「江戸小石川 石工 鈴木常三郎保教」
実はこの神社、丹沢山系の湧水を用いた日本酒「相模灘」の蔵元である久保田酒造の敷地内(?)にあります。
とは言っても中を通らずに裏から参拝出来るようになっていました。
ただ、久保田酒造の創業は弘化元年とのことで、この狛犬が奉納された時にはまだ存在しておらず、関係については不明です。(阿由葉)