千葉県我孫子市新木の葺不合(ふきあえず)神社は神武天皇の父にあたる、鵜葺草葺不合尊(うがやふきあえずのみこと)を祀る神社だという、珍しい神社名に惹かれて行ってみた。
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拝殿正面には異体字で「天女宮」の額がある。
江戸時代は「沖田の弁天さま」として多くの人の信仰を集め、明治元年(1868)に厳島神社と改名した。
明治39年(1906)に出された神社合祀令に基づき、近隣にあった三峰、白山を合祀、さらに約300mほど東北にあった葺不合神社を曳いて来て合祀した。
そして葺不合神社を本殿、厳島神社を拝殿とし、葺不合神社と改名、現在に至っている。
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本殿には猫ほどの大きさの狛犬がいる。
銘は「奉納御寶前 天明元丑九月吉日(1781)」「壹疋施主 田口新兵衛」「願主 増田重佐右衛門 高田浅右衛門」と刻まれているが、この狛犬も合祀された葺不合神社のものだったのだろうか、調べてみた。
我孫子市教育委員会によれば明和元年に書かれた「弁天堂奉加帳」と旧弁天堂である現拝殿の屋根裏から発見された「明和二年酉十月四日 与 同弐拾四日 奉葺代」と書かれ棟札があるという。
つまり明和元年に屋根葺き替え工事の為の浄財寄付がされ、翌年に工事が行われたとなるのだが、奉加帳と同じ奉納年の狛犬もその一環として奉納されたのだろう。
(写真・文 山田敏春)
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