これはどうだ!のおすすめ狛犬
No.107〜 2014.8

元文の狛犬〜多気山不動尊(宇都宮市)

               多気山不動尊(栃木県宇都宮市田下町563)


かなり前になるが多気山不動尊(栃木県宇都宮市田下町)に行った事があった。
その時はまだ正面石段の石は地元産の大谷石であったが、長い年月を経た傷みで登りづらかった。
石段脇に建つ石階供養塔には天保4年(1833)とあるので石段も同年に造られたようだが、最近御影石で改修され段数も増えて108段になったそうだ。


狛犬は3対居るが、一番上に居るのが嘉永元年(1848)の奉納(写真上左)。
2番目は台座が苔むしていて銘が読めないが宝暦顔と言われる狛犬だ(写真上右)。


3番目は宇都宮から碓井峠山頂に掛けて分布するサンショウウオタイプの狛犬で銘は
  「
願主正誉覺心」「元文四己未天五月吉日(1739)」
と刻字されている。(写真下)


元文とはあまりなじみのない年号だが享保年間の次の年号で、徳川将軍の代替わりではなく、なんと桜町天皇の即位による改元だという。
因みにこの時期の将軍は八代徳川吉宗である。

また狛犬と一緒に鶏が2対と1羽が居る。

不動尊と鶏の関係は酉年生まれの人の一代守り本尊が不動明王だからといわれているが、この辺りには「鶏様」の信仰があり農事の中でも特に米作りと雨乞いの祈願をしたという。

不動尊つながりで狛犬と鶏と言えば都内目黒区の目黒不動尊には承応3年(1654)の狛犬が居るが、石段登り口には雌雄の鶏とひよこのレリーフがあったが最近作りなおされた。


                                     (写真・文 山田敏春)