これはどうだ!のおすすめ狛犬
No.112〜 2015.1

12月の狛犬〜清瀧神社

               清瀧神社(千葉県浦安市堀江4-1-5)


銘を正確に読むために清瀧神社(千葉県浦安市)を再訪した。



銘は「維持 安政二乙卯載 杪冬?旦建之」「江戸柳原組 石工坂本角治郎」であった。
「載」は「年」を意味する、続いて「杪冬」(びょうとう)とある。
月の異称として資料では見たことがあるが実際に見るのは初めてである。杪冬は冬の終わりを意味して12月を指す。
つまり安政2年12月吉日(1855)の建立である。
ちなみに12月の異称として知られているのが「師走」だが、台座銘としてはまだ見たことはない。


清滝神社の本殿は安政2年9月に完成したが、翌月の10月2日には安政の大地震が起きて猫実3丁目の花蔵院などが倒壊している。
石工角治郎江戸柳原組石工と名乗っているが、これは江戸石工十三組の内の柳原組を指している。
ちなみに江戸切絵図で柳原を探すと神田川の筋違橋(現・万世橋)から浅草橋に架けての南岸に柳原土手と柳原通り、北岸には柳原河岸や向柳原の地名が見える。
この地域には十三組の内の柳原組と筋違組がいたと言われている。


尾は高く風になびき、右の阿像の子犬が台座の下、左の吽像の子犬は親の腹の下という構図である。
本来は獅子山として造られるはずだったが、大地震の為に築山が造れず、このようになったのかもしれない

                                    
(写真・文 山田敏春)