狛犬の再建をとりあげました。
この再建と云うのがなかなか面倒で首をひねる場合があります。
再建の例を挙げてみると、
先代の狛犬が傷んだのですべてを新しく造った場合の再建
狛犬だけそのままで台座を嵩上げして再建とする場合
狛犬だけを新造して台座は元のままの再建
地震や災害で損傷を受けた狛犬を後日復元した再建
などなどですが、その際、狛犬の作者と再建の石工が別人の場合があります。
東熊野神社(板橋区前野町3-38-3)の狛犬の銘は向かって左の台座に「嘉永2酉年7月吉日(1849)」と願主名、横脇に「再建」右側台座の横脇に「蓮沼村石工 村田清八」と刻字されています。
この狛犬は村田清八の造った狛犬とされていますが、同型の狛犬が
新宿北新宿3丁目の鎧神社(天保7年・1836)
神奈川県三浦市三崎4丁目の海南神社(天保14年・1843)
板橋区氷川町の氷川神社(弘化2年・1845)
に居ます。
鎧神社(写真上)は石工銘がありませんが、
海南神社(写真中)は「江戸小石川 細工人 久五郎保廣」
氷川神社(写真下)は「石工 小石川下富坂町 高木久兵衛」
となっています。
なお東熊野神社の狛犬だけが尾立タイプで最も古いものと思われます。
ちなみに清八の狛犬(安政2年・1855)は板橋区志村2丁目の熊野神社に居ます。
下の写真をご覧下さい。
見比べれば作風の違いは一目瞭然です。
(文・山田敏春、写真・山田、阿由葉)
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