これはどうだ!のおすすめ狛犬
No.117〜 2015.7

狛犬奉納の理由〜諏訪神社(江戸川区平井)

                 諏訪神社(江戸川区平井6-17-6


狛犬奉納には何らかの記念や願いや理由があるのだが、それを台座に詳しく記すことはあまりない。
しかし諏訪神社(江戸川区平井六丁目)の台座には詳しい経緯と理由が記されていた。

要約すると、下平井兵員慰労会は昭和6年11月21日の総会に於いて解散することとなった。
思えば創立以来33年が経ったが、創立の趣旨をよく遂行したことは本会の誇りである。
特に日露戦争(明治37年〜38年)と第一次世界大戦における日独戦争(大正3年〜7年)に際しては出征兵士の激励とその家族の支援などの活動で地域、しいては国家に貢献したことは誇りである。
時代の推移と郷土の変換によって解散する事となったが、長年にわたる良行を簡単に廃するに忍びないので会員の拠出した本会基金の半分を在郷軍人会小松川分会第三班に寄付、半分を
石造獅子二基を奉献して会員の心ざしを永く朽ちることなく伝えるものである。
昭和六年七月吉日。


書は燈明寺の26世貫主関澄道(せき・ちょうどう)です。
一つ残念なのは石工名を刻んだと思われる銘板が摩耗剥離して名が分からないこと。
ちなみに在郷軍人会が発足したのが明治43年(1910)で平井の兵員慰労会の発足は明治31年頃である。
時代と共に町の支援団体は在郷軍人会に統合吸収されていったようだ。

                                   (写真・文 山田敏春)