これはどうだ!のおすすめ狛犬
No.12〜 2006.9

名探偵浅見光彦と獅子山

平塚神社(北区上中里1−34−8)
の好きなものが二つあります。
一つは狛犬ですが、もう一つ作家内田康夫氏の創造した名探偵浅見光彦シリーズです。
水戸黄門とフーテンの寅を合わせたキャラクターを持つ
名探偵浅見光彦、そして狛犬
その二つを満たしてくれるのが
平塚神社です。
営団南北線西ヶ原駅から本郷通りを来ると和菓子屋があります。この店が平塚神社入り口脇にある知る人ぞ知る「平塚亭」なのです。
テレビシリーズで浅見光彦の母に扮した野際陽子さんがよく「平塚亭の団子はおいしいわねー」といっておいしそうに食べるシーンが何度も出てきます。
それ故に「平塚亭」は浅見光彦を愛する人達にはメッカとなっているのです。

い参道を行くと拝殿前に獅子山があります。
年代が確認出来ないほど銘板が傷んでいますが狛研のデータによれば
大正9年の奉納のようです。
獅子の子落としをあらわした獅子山は、断崖を登って来る子獅子を見守る親の姿勢や視線などがみもので、適度の緊張感の中にも暖かい雰囲気がありほのぼのとします。
名品と呼ばれる獅子山は東京には幾つかありますがそれとは少し違う、今時の云い方をすれば「ぬるキャラ」獅子山がこの平塚神社の獅子山です。
獅子をよく見ると右が父親(印しあり)で左が母親のようです。
我が子を谷へ落として子を鍛えるのは父親の役目なのですが、この家では母親がその役目をしているように見えます。
だがもしかすると父親が谷底に落とした子が母親の方へ登って行ってしまったと云うことかも知れません。狛犬の世界でも父親は寂しい役目のようだ。

(写真・文 山田敏春)