随分前になるが自分の生まれ年である昭和23年に奉納された狛犬に栃木県小山市で会った事があったが、それは岡崎型狛犬であった。
編集長のデータには神奈川県に2対あるようだが、23区データには見当たらなかった。
先日中野区の新井薬師に行ったついでに裏側の北野神社(中野区新井)へも行ったところ、拝殿前の狛犬がなんと「昭和23年9月25日」の奉納と刻まれていた。
どうやら23区データが間違っていたようだ。
戦争が終わって3年、年表を検索してみた。
様々な事が起こっているが、私の気をひいたのは1月に帝銀事件、ガンジー暗殺、3月に第1回NHKのど自慢、漢奸容疑で川島芳子が銃殺、4月に日本考古学学会設立、5月には美空ひばりがデビュー、6月に太宰治が自殺、ロッテ設立、8月にプロ野球初ナイターと渋谷のハチ公が再建、ベーブ・ルース死去、9月に本田技研工業の設立、10月に警視庁の110番が設置、横浜市青葉区荘田町の剣神社に狛犬が奉納。
振り返ればまさに「光陰矢のごとし」を感じる。
狛犬の出来は素晴らしく江戸狛犬のお手本のようだ、顔は優しげに参拝者を見ている。
阿吽は逆だが阿像に親犬の顔を見上げている愛らしい子犬、吽像に玉、体には体毛を表す細工が施されている。
タテガミ、眉毛、尾の巻き毛の流れはやわらかげに仕上げている。
石工は牛込の「平田栄太郎」だ。
(文・山田敏春/写真;山田・阿由葉)
ちなみに私(阿由葉)と同い年の狛犬は3対確認している。
これはそのうちの1対。
於岩稲荷(新宿区左門町10)の昭和27年の狛犬。
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