狛犬巡りの楽しみは2つあります。
その1つは狛犬ですが、もう1つは台座の刻字を読む事です。
台座の字と云ってもはっきり読めるものから薄くなって読むのに苦労するもの、また完全に欠けてしまったものまでさまざまですが、何とか推理し納得いく答えにたどり着いた時はうれしいものです。
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鷺宮八幡神社の狛犬は台座の字が薄く欠けている部分もあり、なおかつ狛犬を挟むように植木もあって横から一見して字がある事が分からない状態です。真後ろから藪をかき分けて頭を突っ込んで読むのに苦労しましたが、最初の行は「下鷺宮村」、次の年代の頭の部分が欠けていますが「□政十三年九月」と読めます。
これは「寛政」か「文政」ですが、「年代表」を見ると寛政十三年なら酉、文政十三年なら寅です。
そこで「年」の前に干支を表す文字が無いかと再度見ると十三と年の間に字があります、寅のようです。狛犬の立った尾を見ると寛政年代かと考えましたが、「文政十三寅年九月(1830)」という事になりました。
なおこの年の121月には天保と年号が変わっています。
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ちなみに当時の鷺宮神社の鎮座地は上鷺宮村ですが、鷺宮村は上と下に分かれ上鷺宮は今川氏の知行地、下鷺宮は幕府直轄の天領で名主の横山家が世襲で務めていました。
台座筆頭の発起人には横山定兵衛・横山常右ヱ門の名があります。
(写真・文 山田敏春)
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