狛犬を始めた頃に撮った写真を見ていると、この狛犬は今も変わらずだろうかと思うものがある。
江戸川区の天祖神社(南篠崎町)の狛犬もその一つだが、久しぶりに会ってきた。
(下の写真は 2002.10 撮影/阿由葉)。
十数年前見た時は退色していたが鮮やかに塗り直して強烈なインパクトがある。
幕末期に流行った疱瘡から子供達を守るため全身赤く塗られた狛犬が奉納された事があったが、毛・歯・爪を黄色く塗った狛犬は他に居ない。
黄色は中国では皇帝のみが使える高貴な色として知られているが、漢和辞典に黄衫(こうさん)と云う言葉がある。
「黄色のひとえの短い上衣。隋や唐の時代には若者の着る派手な着物の意」という。
まさに黄色で派手なのである。
黄色の意味を社務所で聞こうと思ったが人が居なくて分からなかった。
あんがい単に目立たせる為で意味は無いのかも知れない。
昭和44年に改修が行われたようだが、奉納年月と石工名を刻んだ銘板が無くなっている。
従って奉納時期が特定できない。
手がかりは世話人の住所「上鎌田」と寄付者の「東京市」だけだ。
東京市は明治22年(1889)から昭和18年(1943)まで
上鎌田(現・南篠崎町)は明治22年から昭和7年(1932)までの地名ですので
奉納時期は明治22年から昭和7年までの間と推定出来る。
(写真・文 山田敏春)
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