昨年4月から狛研例会では自由談義の「狛犬サロン」を展開し、狛犬を部分的に「目」「耳」「口」「尾」を見直すことによって認識を新たにしている。
2月例会では尾の「尾付」に続いて「尾立」のテーマでワイワイやったが、それをまとめてみた。
日光東照宮奥の院の石造狛犬は尾立ではあるが、江戸狛犬の尾はいつ頃立ったのか?
尾立ちが一般化したと考えられる享保年間を中心に尾をチェックしてみたところ手元の資料では中井御霊神社(新宿区中井2丁目)の正徳五年(1715)の尾がかなり盛り上がっているが尾の先は立ちあがっていない。
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はっきり立った尾としては越谷市の久伊豆神社「享保七歳寅九月吉日(1722)」銘の狛犬が最も古いと思われる。(写真上)
足止め狛犬として知られている狛犬だが、双方比べてみると、阿像は尾付、吽像は尾立で吽像のみが尾立ちになっている。
狛犬は左右非対称にするという考えから、必然的に形成されたものと思われる。
その後もこの「尾付・尾立」の形式が享保年間末まで続くが、須賀神社(新宿区須賀町)に享保十三年(1728)に奉納された狛犬の尾は阿吽とも尾立になって「尾立・尾立」で対になった。(写真左)
石工の技術向上と競争意識がもたらした結果ともいえるだろうが、この後の尾は華やかな表情を持つ時代を迎える。
(写真・文 山田敏春)
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