神社境内には奉納された石造物や石碑があり、それを見ていくと歴史的な出来事が背景にあることがわかる。
船堀稲荷神社(江戸川区船堀)には水神社もあり狛犬が奉納されているが、境内には3基の石碑がある。
年代別に辿ってみよう。
百度石に「大正四年五月吉日建之 西船堀 鹿野仙太郎」とある。
願い事をする百度石を奉納するのはすでに大願成就をなしたという事か?
因みに当社は大正4年に荒川放水路開削の為に現在地に移転遷座したという。
水神社前に「大正十五年七月十五日 水神宮上蓋一式 青年団」と云う石碑がある。
上蓋(じょうがい)とは社殿本体を覆うための屋根のことである。
その水神社前に狛犬が居て「昭和二年九月吉日 西船堀 八百仙」の銘がある。
百度石を奉納した鹿野仙太郎と同人物と思われる。
大正天皇が亡くなられたのは大正15年12月25日でこの日を以て昭和元年12月25日となり、残りのわずか7日間が昭和元年となるだが、実感としては年が明けた昭和2年が元年と感じられたかもしれない。
それで喪が明ける昭和3年の御大典を待たずに狛犬を奉納したのだろうか?
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水神社右脇にある石碑には
「紀元二千六百年記念碑 昭和十五年十一月吉日 八百仙」
と刻まれている。
記念式典が宮城前広場で行われたのは11月10日ですが式典は昭和10年から計画されていたので、この日に合わせて奉納したものと思われる。
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(写真・文;山田敏春)
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