浅草神社(台東区浅草)の社殿は慶安2年(1649)に三代将軍家光によって寄進されたものです。
隣接する浅草寺の本堂は空襲で焼けましたが昭和33年に再建、焼失を免れた浅草神社の修復は戦後始められ、昭和38年に完了。
これは昭和の修繕と言われました。
手捏ね感のある狛犬はその記念に奉納されたもので、台座に
「昭和三十八年五月吉日 浅草神社社殿復元記念 三社睦会」
と銘があり、作者の「長造」の名があります。
長造こと関長造は富山県高岡の彫塑家で大正2年(1913)高岡市に生まれ、昭和51年(1976)に亡くなっています。
長造のブロンズ狛犬は栃木県日光市今市531の滝尾神社にも居て、銘は「平成二年十一月(1990)大典記念 長造」で、長造の死後14年目の奉納です。
高岡と云えば鋳物の町として知られ、東京の神社仏閣の大型の屋根付き香炉などに高岡の鋳物会社の銘がありますが、狛犬には高岡と記すことが無いようです。
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例えば昭和12年(1937)に北村声望に依って彫塑された狛犬が板橋区東新町2丁目の氷川神社に最近新調されましたが、台座には
「昭和拾弐年参月拾参日 西原居西望塑人謹作」
とのみあり、奉納年も施工者の名もありません。
高岡の老子製作所のホームページに依れば
平成29年の夏
に納めたそうです。
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(写真・文;山田敏春)
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