これはどうだ!のおすすめ狛犬
No.143〜 2018.10

包吉狛犬を巡る

                  八剣神社(習志野市鷺沼3-14-35)


初代京橋太刀売石工藤兵衛の名が残る最も古い物は文政十年七月(1827)の高輪神社内の石塀です。
翌八月には埼玉県越谷市の久伊豆神社に狛犬を手掛けています。
その後天保六年(1835)に藤兵衛の依頼を受けて港区南麻布の天現寺に虎を刻んだ包吉が二代目藤兵衛を襲名しますが、襲名前の「包吉・花押」と銘を入れた狛犬があります。




最近、鈴木隆弘さんという方が今まで石工名不明だった赤坂氷川神社の弘化三年(1846)奉納の狛犬の尾の付け根に「包吉」の名と「花押」を発見しました。

これにより新たに尾を見ることで更に3対の狛犬が包吉の作品であることが分かったと鈴木さんから報告があり、確認してきました。

 
松戸神社(千葉県松戸)の天保十二年(1841)
 
高産霊神社(千葉県佐倉市)の嘉永三年(1850)
 
千方神社(埼玉県加須市)の嘉永五年(1852)

の狛犬です。
(左写真は高産霊神社・千葉県佐倉市)


そして先日確認に行ったのが八剣神社(千葉県習志野市)の狛犬です。
残念なことに吽像に使用された石材が悪く風化が認められ、また字は浅彫のうえ長い年月を経た摩耗で読みづらく、何とか推察できたのが「鷺沼若者中 嘉永五壬子歳七月吉日(1852)」です。
尾にも包吉の名は認められませんでしたが、高産霊神社の狛犬と比べてみても子犬がいるという違いはあるが、包吉の作品と見ても良いでしょう


 京橋太刀売石工藤兵衛については、こちらをご覧下さい。

                               (写真・文;山田敏春)