これはどうだ!のおすすめ狛犬
No.18〜 2007.3

八右衛門の狛犬と紅白の梅

年は暖冬で雪が降らず、東京に於ける初雪記録を日々更新しています。
10日ほど前のニュースでは荏原神社の寒桜が満開だったそうですが、そんな中、東京10社の内の一つ、根津神社へ行ってみました。
ちょうど訪れた時期が良く、阿像に紅梅、吽像に白梅という組み合わせで、気に入った写真が撮れました。

根津神社(文京区根津1-28-9)
要文化財の社殿前にいる見た目にもいかめしい狛犬は、大正元年9月の建立で、台座には
        「
石工 井亀泉 大竹豊吉彫」と彫ってあります。
井亀泉(せいきせん)とは
石匠 酒井八右衛門のことですが、この根津神社の氏子総代も努めていたようです。
地元では石屋の大旦那と呼ばれ、駒込肴町、現在の向が丘1丁目辺りに店と石置き場がありました
その酒井石材店には、単に石を運ぶ馬方から彫刻の出来る者まで含めて千人もの人たちが関わっていたそうです。

犬に関して明治期は二代目八右衛門、三代目になって大正期は大竹豊吉、昭和に入っては野村保泉が刻んでいました。
三代目は石工の仕事はしませんでしたが、
プロデュサーとしての目は大変厳しく確かだったと言われています。
確かにこうして残された狛犬を直に見ると、凄いなーと実感できます。
都内の狛犬巡りをしながら八右衛門の残した石造物や奉納物に会う、これも楽しみの一つです。

(写真・文 山田敏春)