これはどうだ!のおすすめ狛犬
No.23〜 2007.8

高虎の燈籠 〜 獅子のレリーフ

上野東照宮(台東区上野公園地)
野東照宮参道には大名達が奉納した燈籠が並んでいます。

多くは慶安四年(1651)の家康公36回忌に奉納されたものですが、その中に
寛永5年(1628)に「藤堂高虎」によってが奉納された銅製灯籠があります。
その燈籠の台座部分と石の台座に
獅子のレリーフがあります。

藤堂高虎は弘治2年(1594)近江の国藤堂に生まれ、15才の時浅井長政に仕えたのを初めとして10人の主君に仕え、足軽から伊賀上野32万石の大名に登り詰めた武将です。

高虎は武人として優れていただけではなく、築城の名手とも云われ、石工や大工の棟梁などと深い繋がりがあったようです。
織田家、豊臣家と仕え、徳川家では家康、秀忠、家光の三代に仕え晩年は目を患って失明しましたが家光のご意見番として江戸城に出仕した。

野東照宮は高虎によって寛永4年に勧請されました。
翌5年は家康公13回忌です。
そして2年後の寛永7年10月5日、高虎は75才で亡くなりました、墓は上野動物園内の寒松院にあります。
製燈籠に獅子のレリーフは珍しくなく、古いものもある様ですが、石造としては寛永5年の獅子のレリーフは東京に現存するものでは最も古いと思われます。
江戸中期以降の獅子のレリーフには優れたものがありますが、余り面白いものはありません。が、
このレリーフは大変面白い。
像のタテガミは毛束が太く先が巻き毛になっています。
吽像のタテガミはストレートで
頭の真ん中から分けられていてユニークです。
それにも増して面白いのは
尾の形状です。
尾の先のふさふさした毛を表していると思いますが、まるで葉っぱのようです。丸彫りの獅子では出来ない形状もレリーフなら可能というところか。

(写真・文 山田敏春)