これはどうだ!のおすすめ狛犬
No.29〜 2008.2

頭上の脅威を受ける狛犬

赤坂氷川神社(東京都港区赤坂6-10
赤坂氷川神社の東の参道には桜の木が植わっています。
この木が年々育ち枝を伸ばして太くなっていますが、その太い枝の真下に狛犬がいて、枝が顔に触れそうなころまで来ています。
まさに頭上の脅威です。

この狛犬を初めて見たのが10年ほど前でした。木の枝も今より細くて狛犬との隙間は15センチほどありました。
人の世では十年一昔とよく言われますが、寿命の長いミカゲ石の狛犬にとってはなんの変化もない年月です。
しかし樹木にとっての10年は充分に育つ年月と云えます。
太く重たくなった桜の枝は、
今や狛犬の頭上3センチほどのところまで迫っています。
年に1センチずつ狛犬に近づいてきたようです。
枝を揺らす大風が吹いたらひとたまりもなく弾き飛ばされてしまう状況です。
幸いにも枝がこれ以上下に下がらないようにと工事が行われ支えが設置されましたが、枝を切る事は出来ませんのでいずれ狛犬を移動する事になると思われます。

この狛犬は72年前の昭和11年に氏子総代の苗村又右衛門によって奉納されたものですが、建立スタッフの中に彫刻家・平櫛田中(ひらくしでんちゅう)のビッグネームがあります。
これは驚きです。ぜひ大事にしてほしいですね。

10年前〜15cmの余裕!

現在〜わずか3cm!

銘文
奉献 苗村又右衛門
指導 平櫛田中 田中卍宗
執筆 丸山芳枝 
原型 植野痰柳
日本石巧工業社 石匠長田弘  現場監督 本田勝浩
昭和十一年九月吉日

(写真・文 山田敏春)