これはどうだ!のおすすめ狛犬
No.37〜 2008.10

手ひねりの一品 〜 寺シーサー 

本久寺(墨田区東駒形 2-21-12)


浅草方面から駒形橋を渡って大きな三叉路を直進して2本目の道を左折すると本久寺があります。
天正3年(1575)の創立という本久寺は、江戸時代は日蓮宗のお寺として「東都歳時記」にも記されている著名なお寺ですが、現在の本堂は新しく建て直されて寺らしくなく清楚な感じです。

寺の門柱上に小振りなシーサー、そして本堂の柱前にもシーサーがいます。
近年東京でもシーサーを度々見かけますが、その殆どが個人の家の門柱上で大きさも10cmから15cmほどの
おみやげサイズです。
本久寺のシーサーは本格的なもので寺の守護神として置かれています。
赤い地肌でちょっと怖い表情、鮮やかなヘラさばきから生み出された躍動感あふれるタテガミや尾は素晴らしい出来です。
腰の辺りに
「光」とサインがありますので新垣光雄氏の作だと思われます。
焼き物狛犬は石造に比べて壊れやすいのが欠点ですが、不特定多数が出入りする神社に比べてお寺では顔見知りの檀家以外は出入りしないので、壊される事も無いかもしれません。
手ひねりの一品というシーサーの素晴らしさを改めて見直した作品でした。

                                    (写真・文 山田敏春)