これはどうだ!のおすすめ狛犬
No.51〜 2009.12

タニシ不動尊と狛犬

                  神明神社(幸手市2丁目)

埼玉県幸手市二丁目の神明神社の境内には新潟県新発田市菅谷の菅谷寺(かんこくじ)から勧請した菅谷(すがたに)不動尊があります。
通称
田螺(たにし)不動尊と呼ばれ、田螺を目のように二つ並べて画いた絵馬で知られていました。

稲作地帯では田んぼで沢山田螺が取れて食べて居ましたが、眼病や稲の穂先で目を突いて痛めた時「田螺絶ち」をして治癒を願い田螺の絵馬を奉納しました。

また眼病に霊験あらたかな不動尊として関東一円からも参拝者が絶えませんでしたが、現在は途絶えているようです。

なお社頭には昭和14年奉納の「螺不動尊」と刻まれた石碑が建っています。

螺は「つぶら」と読むらしく「つぶらな目」にかけているといわれています。

             拝殿前にはかなり傷んだ狛犬さんがいます。
             珍しい事に子犬と玉ではなく
両牡丹という形です。

台座の銘は「大正十一年戌三月十七日 太々御神楽奏行 幸手太々講」とあって、伊勢参りをした五人の名が刻まれています。
当時は盛んだった伊勢参りと田螺不動尊、信仰の形態も時代や医術の進歩と共に変わり、
そのことを伝えるのは狛犬や石碑のみになってしまったようです。



                                      (写真・文/山田敏春)