身延山の渡来獅子
日蓮上人ゆかりの身延山久遠寺へ枝垂れ桜を見に行きました。 桜がちょうど満開になろうかという絶好の日でした。 境内には樹齢400年などという古木もありますが、これだけ多くの枝垂れ桜が一度に咲く様は初めて見ました。まさに目の保養、眼福でした。
参道を歩いて行くと大きな渡来系獅子が一対置かれていました。 材質は大理石、「七百年遠忌記念」と銘があるので、昭和56年(1981)の奉納と思われます。 奉納者は日本橋室町の夫婦です。 このタイプの獅子は時々見掛けます。
右の像は玉を口中に含み足の下にも玉があり、左の像は子獅子を足もとに置くというのが定型ですが、右像の股間には珍しい事に見事な物が付いています。 正に雄の獅子です。 中国の古い風習では結婚は女性側から申し込むといいいます。 その際に玉(毬)を男性に示し、男性が結婚を受け入れればその玉を受け取るのだそうです。 そして子供が生まれ、幸せな家庭を築くとなるわけです。 この渡来系獅子にはそんな意味合いがある吉祥の図なのです。 (写真・文/山田敏春)