大正9年9月24日に発生した台風は30日から1日の未明にかけて東京湾を直撃、高潮となり湾岸を襲った。
3年後の関東大震災に隠れて今や知る人もいないというが「大正六年の東京湾大津波」と云われている。
後日の発表によれば全国での死者及び行方不明者は1,144名、家屋の全半壊流失は43,871戸というものであったが、ここ鹿野山神野寺でも大きな被害を受け、樹齢数百年を経た杉の大木数十本が倒れ、仁王門、表門その他の建造物も倒壊、また寛政12年(1800年)に奉納された狛犬にも被害が及び、吽像は無事でしたが阿像が大きく破損したと思われます。
その後「三十世楠純隆師」のもと再建工事と境内整備が行われ、ようやく昔のような神野寺の景観を取り戻し、壊れた阿像狛犬も櫻井村(現・木更津桜井町)の石工大野吉次郎によって復元され大正11年に再建されました。
(文・写真/山田敏春)
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