元禄大地震と同年同月に奉納された狛犬が横浜市金沢区寺前1丁目の八幡神社にいる。
銘は狛犬と一体になった足座の
前肢下に八幡大菩薩(阿弥陀如来)を表す梵字に続いて「八幡宮御神前」
正面に「元禄十六癸未十一月吉日(1703)施主町屋村」
裏面に「新奉造立獅子像二疋 武州金沢領惣江氏子中」
とある。
「惣江」は金沢領内の入江という意味だと思われる。
狛犬は造型から元禄期より後の作ではないかと言われているが、考えられるのは
<先代の狛犬が地震か津波で破損したものを後日新しく造り直し、施主にとって替える事の出来ない大切な奉納年月だけを元のままに彫り込んだ>のではないかと言うことである。
現に昭和製の岡崎狛犬に安政五年(1858)の銘を刻んだ例もある。
(文・山田敏春/写真・阿由葉)