これはどうだ!のおすすめ狛犬
No.80〜 2012.5

台座を護る〜待乳山聖天

               待乳山聖天(台東区浅草7-4-1)


待乳山聖天の東側にある天狗坂石段上がり口に置かれた岡崎狛犬の台座には


  昭和十六年十一月二十六日

  東京市板橋区板橋町 願主星野留吉

  請負人板倉石材店 石工中野勝治


の銘がある。



岡崎狛犬は大正年間の初め頃の考案されたのだから昭和16年に此所に居ても不思議はないが、よく見ると下の台座より狛犬の方が新しそうだ。

そういえば以前斜面途中の植木の中に先代が居たはずだがと目線を右側にやると斜面端の植木の中に一対の狛犬が居る。
よく見ると身体の表面が少し爆ぜている。

パンフレットに依れば戦災にあって本堂が焼失したと書かれているので、その時に狛犬も被災したのだろう。

人は歳をかさね、やがてその地位を若手や子供達に譲る。
いわゆる代を譲るのだが、狛犬は何も無ければかなり長い間その場に居続けて代替わりをしません。
だが、神社や狛犬が地震、火事、そして戦災などで傷ついた場合に再建として新規の狛犬にかわるのだが、なかには台座をそのままにして狛犬だけを据え替える台譲りが行われる。


因みに神社の再建の順番は本堂、拝殿、社務所、鳥居、そして全てが終わってから最後に再建記念として狛犬が奉納されるようだ。



(文・写真 山田敏春)