危なげな小犬〜阿佐ヶ谷神明宮(天祖神社)
阿佐ヶ谷神明宮/天祖神社(杉並区阿佐谷北1-25-5)
かって住んでいた杉並の区役所に用事があり、帰りに阿佐ヶ谷の天祖神社に行ってみた。 おおよそ40年ぶりだろうか、神社はすっかりリニューアルされて昔日の面影はまったくない。 さらに社号標を見ると、なんと社名が神明宮となっている。 資料によれば、明治になってから天祖神社と称したが、平成2年に創建時の社号である神明宮に戻したという。 ちなみに天保7年に出版された江戸名所図会には「阿佐ヶ谷神明宮」として紹介されている。 なお天祖は天照大御神を指す。
では拝殿前の狛犬は何処に行っただろうかと裏手に廻ると、西の鳥居の所にいた。 子供の頃の記憶に狛犬が居たことはなんとなく覚えていたが、これ程の出来であったとは思いもしなかったので感激である。 台座の銘は「氏子中 明治四十五年五月一日(1912)」 石工名は字の一部が欠損しているが「富士勝 刻」のようだ。 石工富士勝の名は初見だが素晴らしい仕事をしている。 タテガミと尾の流れは流麗で柔らかさも感じられる。 一見危なそう子犬の姿勢だが、怖そうな唐獅子顔の親がしっかり支えているという構図が素晴らしい。
台座のレルーフも良い。 右の絵は足柄山の金太郎、左の絵は「鞍馬八流皆伝」とあるので牛若丸(源義経)のようだ。 狛犬は男の子の無事と成長を祈念して奉納したものと思われる。