太子講の狛犬〜滝尾神社
滝尾神社(栃木県日光市今市531)
今市の総鎮守滝尾神社には太子講で奉納された聖徳太子の碑と狛犬がいる。かなり個性的な風貌で阿像には子犬、吽像は玉を持っている。
台座の銘は 「奉納 大正十四年旧正月二十二日」「下駄職工組合」「石工 須藤徳市郎」 なお寄附した金額が刻まれており総額で百八十一円になる。 ちなみに現在、愛知県岡崎の石工さんに狛犬を頼むと1対60万円で刻んでくれるそうだが運搬や設置にかかる費用と神社側への謝礼を含めると倍ぐらいになると思われる。
太子講は建築や木工に携わる職人の守護神である聖徳太子を信仰するもので、江戸時代は太子の忌日と言われる二月二十二日に行われたが三月二十二日の場合もあった。 明治以降は旧正月二十二日が太子講の日のようだ。 ちなみに太子講で奉納された港区高輪の高輪神社の狛犬は宝永六年の二月二十二日、そして目黒区の目黒不動の狛犬は承応三年の三月二十二日である。 今市で下駄と言えば日光下駄を指すと思われるのだがその由来は「御免下駄」と言われている。 日光の社寺でも原則履物は草履とされていたが雨天時や雪解け時のぬかるみに草履に「コの字」の台を付けた下駄が考案されて履かれたと言う。 だが歩きやすい下駄ではなかったので明治中頃になって歯の位置や形を工夫して日光下駄となった。