これはどうだ!のおすすめ狛犬
No.98〜 2013.11

根府川石の牛〜北野神社

                  北野神社(文京区春日1-5)


天保七年(1836)に刊行された江戸名所図会によれば、北野神社は、金杉天神または牛天神と呼ばれ、御神体は菅原道真公自らが刻んだ管神像と記されていた。
拝殿前には狛牛が一対と左側に源頼朝が座ったと言いつたえられた牛石が祀られている。


菅原道真と牛は一体となって信仰の対象になっているので各地の天神社には牛像の寄進がある。
ここ北野神社の牛像の銘は「
嘉永五年壬子夏四月 池田屋利衛門」となっている。
嘉永五年(1852)は
菅原道真公九百五十回忌にあたり牛天神に於いても2月25日から50日間、御開帳があったと記録にある。


狛牛に使われた石材は根府川(神奈川県小田原市根府川)でとれる根府川石です。
主に石碑や敷石に使われるもので、狛犬や石仏などに使われることはないようなので珍しい例といえます。
特徴とし板状に割れる性質があり敷石に多くつかわれていたが、安永年間(1772〜80)に江戸の石工が文字を彫ったところ、大変鮮やかだったところから全国的に広がったという。
また根府川石は小松石より生成期が古く硬い石なので石工の間では
道具が傷む石工泣かせの石と言われていたようだ。
そんな根府川石で造られた狛牛だが右の像は上下二つの石を重ねて一体を彫ったのだろうか、それとも完成後に割れたのだろうか?



                              
(写真・山田敏春、阿由葉 文・山田敏春)