羊-2 「鎮魂の羊」〜陵墓に置かれる羊
聖天院(ショウデンイン)・勝楽寺 高句麗王「若光」の陵墓
高句麗の王族だった「若光」は、日本に渡来して、高麗郡の長として、この地に田畑を開き、民生を安定した。この高句麗王「若光」の墓稜の前に一対の羊の石像がある。
日本では見かけないが、中国や朝鮮半島では、
お墓や陵墓を守護し、霊を鎮魂する、「鎮魂獣」の一つとして、羊の石像が陵墓に置かれるという。
「鎮魂獣」としての羊像が「若光の陵墓」にも置かれたと思われる。

埼玉県日高市新堀87



早稲田大学 図書館 〜「ゴルドン文庫」の陵墓の羊
早稲田大学図書館(高田早苗記念研究図書館)の教職員通用口の前に一対の羊像が置かれている。
この石羊は、李氏朝鮮時代、
王陵や墳墓を守護・鎮魂するため、陵墓の周囲に置かれた動物・人物像などの中の一つである。
ゴルドン文庫と羊
イギリスの名門出身のE.ゴルドン夫人は、「キリスト教と仏教の根源は同一」とする研究調査のため、中国・朝鮮などを訪れ、明治末期から大正にかけて何度か来日して長期滞在して研究・著作に没頭、1925(大正14)に日本で亡くなった。
この間、ゴルドン夫人は、大隈重信候の理念を崇敬し、名誉講師として講演を行うなど早稲田大学と縁が深かったことから、それまでに日本などで収集した大量の研究資料、図書、仏画、器物などを大学へ寄贈した。
早稲田大学はこれらを「ゴルドン文庫」として記念した。
上記の石羊一対もゴルドン夫人の寄贈文物の一つである。


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