〜イノシシ(1)  摩利支天(マリシテン)の猪
摩利支天像は、三面六臂で、走駆する(七頭の)猪に乗っているとされるものが多い。
ここから、猪が神使とされた。
摩利支天(マリシテン)と猪
摩利支天は陽炎(カゲロウ)を神格化した女神で、陽炎のように目に見えなくとも常に身近に居て、月日に先立って進み、進路の障害になるものや厄を除き、ご利益を施してくれる。
武士の間でも戦勝の神として信仰され、出陣に際しては鎧の中に秘めてお守りとされた。
軍神とされる一方、五穀の結実を豊かにする農業の神ともされる。
摩利支天像は、三面六臂で、走駆する猪に乗っているとされるものが多い。
ここから、猪が神使とされた。
猪に乗る摩利支天尊姿(お札)
摩利支天像(石仏)
建仁寺禅居庵 摩利支尊天
「顔は天童女で三面六臂(ウデ)あり、身には甲冑を着け、頭には宝冠を戴き、七頭の猪に乗る」
南禅寺聴松院の大聖摩利支尊天
「三面六臂で頭に宝塔宝冠を戴き、甲冑を着け、七頭の亥(猪)の背に座す」
霊諍山(大雲寺の裏山)

長野県千曲市八幡

修那羅山安宮神社

長野県東筑摩郡坂井村



追加情報

「丸彫りの摩利支天」像

鎌倉・材木座の「五所神社」に、素晴らしい「丸彫りの摩利支天」像がありました。
こんなに良く出来た丸彫りで、無傷な石像はめったに見ることが出来ませんので、追加掲載します。
「三面六臂で、走駆する猪に乗っている」姿が良く表現されています。
(像の年代などは不明)

五所神社は材木座の氏神。
明治41年(1908)、もともとあった三島神社に八雲、諏訪、金比羅、視女八坂を合祀して五所神社となった。

五所神社 神奈川県鎌倉市材木座2-9

  
本法寺 摩利支尊天堂
久遠院日親上人の開基、現在は日蓮宗一致派大本山。
本阿弥家の菩提寺で、光悦作といわれる「巴の庭」が有名。
茶道家元の裏千家の今日庵や表千家の不審庵に隣接している。
境内の麻利支尊天堂に麻利支天の神使の猪像がある。

明治30年(1897)  

京都市上京区小川通寺之内上ル本法寺前町617
市バス「堀川寺之内」下車

建仁寺 禅居庵(摩利支尊天堂)
 
建仁寺 禅居庵・摩利支尊天堂 入口
拝殿前
開山清拙正澄禅師(元の禅僧)は、1326年(嘉暦元)北条高時の詔で、中国から日本へ渡るに際に、清浄の泥土で「摩利支天像」を作り袈裟に包んで持ってきて、これを当地に祀った。
建立は1333年(元弘3)年。
禅居庵の摩利支天はお堂の周りを回りながら願をかけると必ずかなうといわれ、特に開運、七難除けに霊験があるとされる。

この堂(庵)には、上記拝殿前を含め、神使としての猪像が4対ある。

参道途中 昭和2年2月(1927)
横参道
入口
京都市東山区大和大路通四条下ル4丁目小松町146
市バス:四条京阪前下車
南禅寺聴松院
南禅寺は臨済宗南禅寺派の大本山。
1291年(正応4)に亀山上皇の離宮を寺にしたのが創起。
創建時の伽藍などは焼失し、桃山時代のものが残る。
また、藤堂高虎が1628年(寛永5)に建てた三門は、歌舞伎「楼門五三桐」の中で石川五右衛門が楼上で「絶景かな、絶景かな」と見得を切る場面で有名になった。
南禅寺の聴松院は「大聖摩利支尊天」を祀る。
猪の像が対でおかれている。

京都市左京区南禅寺福地町
地下鉄東西線蹴上駅歩5分