犬〜イヌ(7) 麻呂子親王の鬼退治と白犬 |
丹後丹波地方には、源頼光の大江山の鬼(酒呑童子)退治伝説と共に、
それ以前の麻呂子親王の鬼退治伝説も各地に残されている。 麻呂子親王は白い犬から献上された鏡のお陰で鬼退治に成功した。 その宝鏡は大虫神社に納められたと伝わる。 神社には鏡を付けた和犬の像が奉納されている。 |
「麻呂子親王の鬼退治と白犬」伝説
与謝郡河守荘三上山(現在の京都府与謝郡・大江山)に、栄胡、足軽、土熊(土蜘蛛)の三鬼が棲み、朝廷の命に服さず、人々を苦しめていた。 鬼賊征伐を命じられると、用明天皇の第三皇子、麻呂子親王(聖徳太子の異母兄弟)は、自ら薬師如来像を刻み、神徳の加護を祈願したのち、征伐に向かった。 丹後におもむく途中、額に鏡をつけた(一説には、首に鏡を掛けた)白い犬が現れて、親王にその鏡を献上し、鬼賊の住む岩窟までの道案内を申し出た。これこそ神仏のご加護と感じた麻呂子親王は、喜び勇んで進み、鬼の窟に着くや、栄胡、足軽の二鬼を首尾よく退治することが出来た。 しかし、土熊には逃げられてしまった。親王は、逃げた土熊を追って竹野郡の岩窟に至ったが、土熊の姿はかき消えてしまった。 このとき、白犬から献上された宝鏡を松の枝に掛けたところ、肉眼では見えない土熊の姿が歴然とその鏡に映ったのでこれも退治できた。 鬼賊征伐成功の後、麻呂子親王は、この宝鏡を、三上山(大江山)の麓の大虫神社に納めた。 大虫神社には、この白い犬が付けていた宝鏡が祀られていたが、火災で焼失してしまったという。 (参照資料:加悦町誌1974年12月など) |
大虫神社には「麻呂子親王の鬼退治伝説」に因んで奉納されたと思われる
二対の和犬(山犬=狼)像がある。 |
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麻呂子親王の鬼退治伝説に因んだ、首に鏡を掛けた阿吽の和犬。
和犬というより、山犬(狼)といったほうがよさそう。 昭和6年(1931)奉納 |
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こちらのもう一対も、鏡は付けていないが伝説の犬に因んで奉納されたと思われる。
なかなか味のある像である。 昭和19年8月(1944)奉納 氏子中
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