狐〜キツネ(2) ダキニ天の狐…仏教系稲荷のキツネ |
仏教系稲荷の本尊、ダキニ天は「白狐」に騎乗する姿で表現される。
この「狐」の縁で、日本古来の(神道系)稲荷と次第に習合して 鎌倉時代中頃には、神仏、両系の稲荷が並存することになった。 狐を神使とする。 |
仏教(寺社)系稲荷の本尊は宗派(寺社)でそれぞれ呼称は異なるが、インド伝来の荼枳尼天(ダキニ天)を祀る。
仏教系稲荷として、豊川稲荷(曹洞宗)や最上稲荷(法華宗)が知られる。
仏教系稲荷を代表する、豊川稲荷、最上稲荷のご本尊(ダキニ天)は、天女の姿で稲穂の束を担ぎ、宝珠をもち、白狐に跨っている(下図参照)。この白狐が神使とされる。
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愛知県豊川閣の直轄別院で、豊川叱枳尼真天(トヨカワダキニシンテン)を祀る。
江戸時代、大岡越前守忠相が信仰した由緒ある尊像を祀っている。 寺の立派で大きな本堂の前に、これまた、大きなブロンズの狐が一対ある。 裏手には、沢山の狐像が林立する。ダキニ天の神使の狐たちである。 東京都港区元赤阪1-4-7 |
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千住神社の境内にあるこの稲荷は、「最上位経王大菩薩」(ダキニ天)を祀る仏教系の最上稲荷である。
なお、同じ境内に「宇迦之御魂神」を祀る神道系稲荷も並存する。 右は稲束を振り分けて背負い倉の鍵に足を置く、左は子狐を背に宝珠に足を載せる 東京都足立区千住宮元町24-1 |
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本尊の「長栄大威徳天」は稲荷神で、高祖日蓮が佐渡ヶ島に配流されとき、
白髪の翁として現れ、以後、高祖日蓮を生涯守護したとされる。 日蓮・法華経の守護神とされた。 なお、この堂では大黒天も祀るが、ダキニ天は大黒天の眷属とされる。 長栄稲荷の門前の左右に、左は稲束を担い、右は宝珠を持つ阿吽の狐像が置かれている。 ?東京都大田区池上1-1-1 |
薬師神社は「瑞光山医王院常蓮寺」という寺だったが明治維新の神仏分離の折、
薬師神社となった。明治26年の川越大火で消失し翌年再建された。
御本尊は薬師如来の立像だという。
神社と名はついているが、実体は寺である。
この社の境内に「薬師稲荷」がある。
この稲荷も実体は仏教系稲荷といえるので、狐像はダキニ天の狐である。
寺の稲荷の狐が、神社の注連縄(シメナワ)を首に巻いている。
明治の神仏分離の申し子である。
埼玉県川越市幸町15-2
西武新宿線本川越駅下車、歩15分「時の鐘」の奥「薬師神社」内