狼-(2) 〜オオカミ 両神山の狼
秩父の両神山は、古くから山岳信仰の対象であり、修験行者の修験の霊場とされてきた。
両神山系には三社の神社があるが、いずれの社にも、両神山を御神体とする
山の神のお使いと見られる山犬(オオカミ)の像がある。
  
両神山の神社とオオカミ像
両神山は、三峰山・武甲山と共に秩父三山の一つとされ、古くから山岳信仰の対象であり、修験行者の修験の霊場とされてきた。
両神山系には、「両神神社」・「両神御嶽(おんたけ)神社」・「龍頭神社」の三社が祀られている。
いずれの社も、両神山の主稜や尾根筋に「奥社」・「本社」が、山麓に「里宮」が鎮座している。

奥秩父の霧藻ケ峰からみた両神山
さらに、どの神社にも山犬(オオカミ)の像が置かれている。
これらのオオカミ像は、どの社も山岳信仰や修験道場として知られ、両神山を御神体とする山の神を祀っていることから、両神山のお使い・眷属として置かれたものとみられる。
修験行者の影響を強く受けたもので、
三峯神社を中心とするお犬さま信仰より古い山犬信仰といわれる。
なお、この両神山の三社では日本武尊との由縁も聞かれない。
現在でも、両神神社・龍頭神社では、山犬(オオカミ)の姿の入ったお札の頒布が行なわれている。

両神山系の三社 神仏混合の時代(明治の神仏分離以前)は…
A. 両神山・両神神社
  里宮は、かつて観蔵院と呼ばれる天台宗の修験の寺だった。
  両神明神を祀り、一方では、イザナギ・イザナミ命を祀っていた
B. 両神御嶽(おんたけ)神社
  里宮の金剛院は、古くから真言密教の修験道場だった。
  後に木曾御嶽信仰が取入れられた。両神権現を祀っていた。 
C. 八日見山・龍頭神社
  
山頂に龍神を祀って水乞いをする社とされる。龍神大明神を祀る。
  龍神は、龍頭
(りゅうかみ)、両神(りょうかみ)に通じ、両神山も指す。

両神山の山名の由来は

山頂にある新奥社

山頂崖面にある旧奥社
(1)山頂近くに両神神社(両神明神)・御嶽神社(両神権現)の二社あるいは、イザナキ・イザナミの二神、を祀っていることから、とか、(2)龍神を祭る山とされたり、龍の頭のような山頂の形状から、龍神山(りゅうかみさん)または龍頭山(りゅうかみさん)と呼ばれていたから、など、諸説がある。
また、両神山は別名八日見
(ようかみ)山と呼ばれるが、これは日本武尊が東征の途中、八日間この山を望みながら旅をしたとの伝説に基づく。