狼(1)〜秩父(秩父鉄道沿線)のオオカミ
A. 三峰・三峯神社 |
由緒
人皇第10代崇神天皇7年創建と伝わる。12代景行天皇の御世、日本武尊が東征の帰路、甲斐(山梨県)から武蔵(秩父)・上野(群馬県)を経て薄日峠へ向かう途中、三峰に至り、そこで見た三峰三山の霊気を感得し、国生みの神、伊弉諾第尊(イザナギノミコト)、伊弉册尊(イザナミノミコト)の二神を祀る聖地として仮宮を設けたのが、三峯神社の始まりともされる。 なお、日本武尊がこの山中で道に迷った時、眷族の山犬(オオカミ)が現れ、尊を先導して三峰へ到ったといわれる。 後、第44代聖武天皇の天平8年(西暦736年)僧行基が蔵王権現の像を安置したと社伝にある。 修験の祖、役の小角(えんのおづぬ)が伊豆から三峯山を往来して修行し、弘法大師が十一面観音を刻んで三峯山に安置し、鎌倉期・徳川期には東国武士を中心に信仰を集め、天台修験の関東総本山ともされたが、この間には衰退した時期もあった。 |
三峯講
三峯神社繁栄の今日の基礎が確立したのは、享保5年(1720)、日光法印という僧によって広められた山犬(オオカミ・御眷族・お犬さま)信仰による。 日光法印は、日本武尊の眷属でもある山犬(オオカミ)が境内に満ちたことに神託を感じ、四足・火災・盗賊除けに山犬の姿の入った神札(大口真神)を信者に頒布した。 山里では猪鹿などの害獣除け、町や村では火伏せ・盗賊、さらには憑き物、厄病除けの霊験が語られた。 お犬さまの霊験を信じる人たちは、講社(三峯講)を組織して、毎年この「お山」に参拝(代参)しご眷属の狼(お犬さま)の神札を頂いた。 そして、それぞれの講社は、自分達の村落や町にも、三峯神社の末社を祀った。 社にはオオカミ像も奉納された。 三峯神社のお犬さま信仰は秩父の他社にも大きな影響を与えた。 |
拝殿内祭壇 |
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三峯神社拝殿 |
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正面登拝階段下 秩父最古のオオカミ像 |
文化7年(1810)3月 江戸四谷(講) |
お仮屋(遠宮) 御仮屋:三峯神社の御眷属のお宮 (御眷属はお犬さまで、大口真神と称する) |
昭和38年(1963)5月 川崎、神璽講 石工:東京芝・三橋清太郎 |
青銅鳥居:中参道から境内(拝殿)への入り口〜弘化2年(1845)建立、江戸木場竪川講奉納 |
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青銅のオオカミ |
奉納:葛飾講 |
中参道分岐 |
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徳明講奉納 |
石工:墨田区大平、石六石材 |
随身門 |
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大正11年(1922)6月 神田市場講奉納 |
深川石工 杉山善次郎、彫刻 竹越新太郎 |
駐車場口・四柱鳥居 自家用車やバスの発着する大駐車場から、神社の境内への入口で、今や表玄関とも言うべき鳥居 |
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昭和45年(1970)5月 横浜市魚又講奉納 |
寄居町石匠 中川仙石 |
表参道山頂 境内入り口鳥居(奥宮遥拝殿傍の崖上) 大輪から3時間近く掛けて表参道を登りきって、山頂の神社境内の入り口に当る鳥居。ここから、随身門を通って拝殿へ進む。すぐ近くに奥宮遥拝殿がある。 この鳥居の左右の崖上に、秩父の名工、森玄黄齊(1807-1886)作の御神犬(山犬)の像がある。独特で、精緻な造りの像である。 |
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表参道登拝口 大輪口の登龍橋先の崖上に2対の先代像がある(写真下) |
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大輪口大鳥居
大輪口は、古くは表参道の登り口。また、近年は三峰ロープウェイの大輪駅への入り口とされ、三峯神社登拝の玄関口として賑わった。 ところが、自家用車やバスでの参拝が主流となり、平成19年12月1日で三峰ロープウェイは廃止されてしまい、今では、山上の大駐車場が表玄関になっている。 この大輪口からは、ハイカーが表参道を山頂の神社まで3時間近く掛けて登るだけとなった。 表参道は、古くから修験者が登降した道でもある。 |
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昭和元年(1926)12月 高崎・開運講奉納 |
石工 高橋亀之助 |
旧ロープウエイ山頂駅から見た奥宮(妙法ヶ岳) |
三峯神社奥宮(奥之宮) |
奉納 東京千代田講のオオカミ(奥宮) |
銚松講の奉納碑のオオカミ像(奥宮に隣接) |
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