狼-(7) 関東平野部のオオカミ C. 「平野部の単独神社」のオオカミ
関東の平野部にも、「三峰講」「御嶽講」が建立した社ではなく、「単独の神社」にオオカミ像が置かれている場合がある。
下掲の2社は、祭神に日本武尊を祀ることからその眷属の山犬
(オオカミ)が境内に置かれている。
これは偶然だが、2社とも、先代像を原像とするオオカミ像(新像)が拝殿の前に置かれている。
  
宮益 御嶽神社 祭神:日本武尊、秋葉の神、大国主命、菅原の神

渋谷の繁華街、宮益坂(みやますざか)のビルの屋上にある神社。
雑踏の中、階段で上った境内は静寂な異空間。
神社は奈良県吉野の金峰神社の分祭社で、武蔵御嶽、木曾御嶽と区別するため宮益御嶽神社と呼ぶ。 



新像(神殿前) 昭和55年(1976) 多田端穂作


先代像(社務所内) 江戸時代作

江戸時代作ともいわれるオオカミ石像(先代像)が伝わるが、損傷が甚だしく社務所内に保管安置されている。社殿前のオオカミ像(新像)はブロンズ製で先代像をモデルに製作された。

東京都渋谷区渋谷1-12-16

子母口 橘樹(タチバナ)神社 祭神:日本武尊、弟橘媛

「日本武尊が東征の折、この地から上総へ渡ろうとして船出したが海は荒れ狂った。このとき、弟橘媛(おとたちばなひめ)が入水して海を鎮め、無事渡ることができた。後に媛の装身具の一部がここに漂着したので、この地に埋め祀った。東征の帰途立ち寄った日本武尊は媛を偲んで一社を建立した。」
この社の由縁である。
日本武尊の眷属であるオオカミの像がある由縁でもある。



新像(拝殿前) 平成2年(1990)10月


先代像(日本武の松裏) 明治13年(1880)9月  石工;溝ノ口 内藤留五郎

ここの像は和犬に近く仔連れである。
新像は、先代像をモデルに造られたものだが、どこか朴訥さがなくケンがあり、
教育ママと肥満児に見える。 「子連れ母犬像」は、地名(子母口)の影響をうけたもの?

神奈川県川崎市高津区子母口122