〜リュウ(1)  水を司る神「 おかみのかみ」の龍
「おかみのかみ」は、万物の生命の根源とも言うべき水に関して、
天地の自然循環の仕組みを適切に司る水神である。
(おかみ)」という字は「龍」を意味する古語でもある。
水を司る神「おかみのかみ」と龍
迦具土(カグツチ)命の出産がもとで、伊邪那美(イザナミ)命は死んでしまった。
伊邪那岐
(イザナギ)命は、愛妻、伊邪那美命を死に追いやったと、怒って迦具土命を斬り殺すが、
この際に生まれたのが、「おかみのかみ」だとされる。(日本書紀・古事記)
「おかみ」は古事記では「淤加美」と書く。

「おかみのかみ」は、山の尾根筋の「高おかみの神(たかおかみのかみ)と深谷の「闇おかみの神(くらおかみのかみ)の二神(両者は同一神ともいわれる)の総称で、降雨・止雨、地中蓄水・湧出など、すべての水の動きや働きを司る水神である。

「おかみ」という漢字は「雨かんむりに、口を三つ横に並べ、その下に龍」と書く。
まさに、この水神のための漢字である!
「おかみ」という字は「龍」を意味する古語でもある。
従って、「おかみのかみ」とは龍(竜)神ということにもなる。

この漢字表記が出来ないため、「おかみ」と平仮名で表示する。

  
おかみのかみ」は、万物の生命の根源とも言うべき水に関して、天地の自然循環の仕組みを適切に司る
は、空中、地上、水中に住み、天空天地を行き来して雲を呼び雨を降らせるなど、水を自在に支配する
両者は
共に、水神として古来より信仰され祀られた

水を司る「おかみのかみ」を祀る神社として、有名なのが「貴船神社」(京都市左京区鞍馬貴船町)と「丹生川上神社」(奈良県吉野郡)である。
両社は、延喜式で最高位の「名神大社」とされて、歴代の朝廷から勅使が派遣され、
祈雨に際しては黒馬が、祈晴(止雨)に際しては白馬または赤馬が奉納された。

写真左
手水口の龍 雨降山大山寺(大山不動)神奈川県伊勢原市

大山阿夫利神社の摂社「二重社」(祭神 高おかみの神)

関東一円で、「雨乞いの社」として有名な「大山阿夫利神社」は、摂社「二重社」に水神として「高おかみの神(たかおかみのかみ)」を祀る。
阿夫利神社の「阿夫利」は「雨降り」に由来するといわれる。
江戸後期から明治にかけて「大山詣」(大山講)が盛んに行われた。
特に雨乞い、止雨、適雨に霊験があるものとされて、農業・漁業・海運・商工(大工・鳶・左官)に携わる人々の信仰を集めた。

摂社「二重社」は、下社の下(茶屋)から10分程の「二重滝」の傍らにあり、
「八大龍王」の幟(のぼり)が林立している。
「八大龍王」は龍族の王である。
参道階段上の左右に神使の龍(竜)像があるが、
このような
阿吽の一対は珍しい。青銅製である。

神奈川県伊勢原市大山355
小田急線伊勢原駅、大山ケーブル行きバス終点下車、ケーブル阿夫利神社下社駅、歩20分

雨降山大山寺(大山不動尊)
755年(天平勝宝7)に創された「雨降山大山寺(大山不動)」は、別当寺として、明治の神仏分離まで大山阿夫利神社と一体だった。

「大山不動」は、高幡不動、成田不動と共に関東三大不動の一つである。

寺の本殿前に置かれた左右の特大の「天水(雨水)受け」に、神使像ともいえる「龍の阿吽の一対」が浮き彫りされている。「天水と龍」は、この寺の寺号の雨降山にふさわしい。(高さ約1.2m)

大山ケーブル追分駅から下社に向かう女坂の途中

荏原神社〜屋上の龍


この社の主祭神は、和銅2年(709年)9月9日に、奈良・丹生川上神社より勧請した高?神(たかおかみのかみ)。
高?神は降雨止雨湧水など水の働きのすべてを司る水神(龍神)で、「品川の龍神さま」として信仰されてきた。

拝殿の屋根の両端から龍が首を伸ばしている。
祭神、高?神の眷属(神使)の龍である。



                     荏原神社
                    東京都品川区北品川2-30-28