〜タヌキ(2) 不空院の狸
不空院は縁切り、縁結びの社として知られる。
この社に阿吽の一対になった石造りの狸像が置かれている。阿吽の狸像は珍しい。。
  
不空院


不空院は、重文の不空羂索観音坐像を本尊とする古刹で、本堂には弁才天も安置されている。
「ふくういん」の院号が「福院」とも転じて呼ばれ、特に芸妓たちの間で厚く信仰され、「駆け込み寺」ともされていたとのこと。
本堂の前軒には「えんぎりさん」「えんむすびさん」の提灯が交互に横に並んでいる。

「縁切りさん」と「縁結びさん」
本堂の左手に「縁切りさん」(法竜大善神)と「縁結びさん」(黒竜大神と市岐姫神)を祀る社祠が隣り合って並ぶ。
その前の鳥居の足元に、
阿吽の石狸の一対が置かれている。
このような阿吽の狸像に今まで出会ったことがなかった。
祭神と狸の間に由縁はない。
「えんきりさん」「えんむすびさん」の語句に、やんわりと因んで、狸は人を化かすとされるので「騙(だま)さず」「騙されず」の意で置かれたものともとれる。
好感がもてるお人好しの狸像で、頼めば腹鼓も打ってくれそうである。
でも、見方によっては、縁結びさんのほう(左)の狸は喜び、縁切さんのほう(右)は神妙で不安気な顔をしているようにも見える。



写真上は鳥居前の阿吽の石狸


本堂前の賽銭箱の後ろには陶製の狸が控えている


奈良市高畑町1365
JR・近鉄奈良駅から市内循環バス「破石町
(わりいしちょう)」下車徒歩10分