〜ニワトリ  天宇受売命(アメノウズメノミコト)の長鳴鳥(鶏)
「天の岩屋」に隠れた天照大神を外へ迎え出すのに共に大役を担った、天宇受売命(アメノウズメノミコト)と鶏(ニワトリ)は「ワンセット」とみなされ、さらに、鶏は天宇受売命の神使としても扱われるようになった。
猿田彦命と天宇受売命は夫婦とされ、一緒に祀られることも多い。
「天宇受売命と常世の長鳴鳥(鶏)」
天宇受売命と鶏に関する話は、古事記などの「天の岩屋戸開き」で知られる。

「天の岩屋戸(岩戸開き)の話」
 天照大神は、弟の須佐之男命があまりに目に余るいたずらをしたので、怒って「天の岩屋」に隠れてしまった。そのため、世の中は闇に閉ざされてしまい災いが溢れた。
困った神々が集まって相談した結果、知恵の神、思兼(金)神
(オモイカネノカミ)から妙案がだされた。天の岩屋戸の前で、神々が大きな榊(サカキ)に玉飾りや木綿や麻の布切れをつけて捧げ持ち、常世の長鳴鳥(トコヨノナガナキドリ)、すなわち鶏(にわとり)を集めて鳴かせ、楽器を奏し、御幣を振って祝詞(ノリト)をあげ、これに合わせて天宇受売命(アメノウズメノミコト)が胸も股も露に、足を踏み鳴らして踊った。
その様に、八百万
(ヤオロズ)の神々は声を上げて笑い、はやしたてた。

天宇受売命と鶏の像 (石工;小林寅吉布孝〜狛犬ネットの鐸木能光氏による

須賀川牡丹園(福島県須賀川市)JR東北本線須賀川駅、タクシー13分

 あまりの賑やかさに、天照大神が「何事か」と岩屋戸を細く開けて隙間から覗いたとき、大鏡(八咫鏡ヤタノカガミ)を向けて「あなた様より、もっと尊い方が見えたので」と答えると、鏡に映った自分の姿をその神と勘違いして、もっとよく見ようと岩屋戸の隙間を広げた。
 このとき、岩陰に隠れていた天手力男神
(アメノタジカラノカミ)が戸を力任せに開け放って、天照大神を迎え出し、岩屋戸に注連縄(シメナワ)を張って戻れないようにした。
太陽が戻って、再び闇に閉ざされることは無くなった。
須佐之男命は高天原
(タカマガハラ)から追放された。

 この故事から、天宇受売命は「芸能の祖神」とされた。
 また別名「おかめ神」「お多福神」ともよばれる。

古曾志神社(白髭神社)
祭神に猿田毘古命(サルタヒコノミコト)と天宇受売命(アメノウズメノミコト)を祀る。
両神は夫婦とされ
ることから、両神の神使である猿と鶏の石像が
参道階段の
左右に対で置かれている。

島根県松江市古曾志町字松尾466
JR松江駅から市バスで「庭園美術館前」下車、歩20分

参道階段左右の鶏像(古像)
文化13年(1816)
参道階段左右の鶏像(新像)平成8年(1966) 奉納者;近松 保
(上掲の古像の構図を模して造られた)
猿田毘古命の猿像と天宇受売命の鶏像が左右対でおかれている。ほほえましい光景である。

猿像及び両神の出会いの場面(天孫降臨)については後日アップ予定

白髭神社(鶴岡市山田)
主祭神に猿田彦命を祀ることから、
その妻子とされる天宇受売命の神使の鶏像も参道に置かれている。
雄鶏と雌鶏で一対になっている。

山形県鶴岡市山田
JR羽越本線「羽前大山駅」下車歩15分

また、社殿内には天宇受売命の別名、「おかめ」「お多福」の面が奉納されている。

奉納された「おかめ」の面

猿田彦命の神使の猿とおぼしき奇妙な像がある。

猿田彦の猿像についてはこちらをご覧下さい。