鶏〜ニワトリ(3) 不動明王(不動尊)のニワトリ |
不動明王像は、燃え盛る炎を背にしている。この炎は、「衆生の煩悩を大智慧の火で焼きつくして悟りに導きたい」との、不動明王の強い意志(本誓)を現わすものとされる。 不動明王が背負う炎は、迦楼羅焔(かるらえん)といい、迦楼羅が吐き出す火炎である。 迦楼羅はインドの伝説上の鳥を神格化した霊鳥で、ガルーダ(Garuda)、金翅鳥(コンジチョウ)とも呼ばれる。 四天下の大樹に住み、火炎を吐き、悪竜を常食とし、金色の両翼は広げると336万里あるという。 迦楼羅は仏教に取り入れられて仏法の守護神とされた。 |
不動明王像の迦楼羅焔の中には迦楼羅(鳥)の姿が入っているものもあり、迦楼羅の像容の中には鶏のような鳥頭に造られたものもある。
これらの迦楼羅に因んで鶏(ニワトリ)が不動明王の「お使い」とされたものと思われる。 また、不動明王は酉歳(とりどし)生まれの人の一代守本尊ともされるが、これも迦楼羅に因むとする俗説もあるという。不動尊に鶏像が奉納されている。
|
|
|
推古18年(609)に中国僧、円智上人が一本の木から彫ったと伝わる、
津軽の三不動尊像の内の一体をを本尊とする。 社名は神社だが、「中野のお不動さん」と呼ばれる。 参道の階段の上に、一対の石造りの鶏(ニワトリ)が奉納されている。 巴太鼓(ともえだいこ)に乗る、しゃれた像である。 |
|
|
|
ここの住職によると、「鶏(ニワトリ)は、お不動さんの迦楼羅炎(かるらえん)の迦楼羅になぞらえられて、お不動さんのお使いとされている」という。
不動明王は、酉歳(とりどし)生まれの人の一代守り本尊でもある。 この縁で鶏像が奉納された可能性も頭をよぎったが、奉納は地元の「婦人一同」で酉歳生まれの人たちではなく、奉納年も酉年ではない。 奉納日は6月28日。月の28日はお不動さんの縁日である。 住職の言葉どおり、鶏像は「お不動さんのお使い」として奉納されたとするのが妥当である。 奉納 昭和37年(1962)6月28日 中野黒森・婦人一同 青森県黒石市南中野字不動舘27 |
生まれ年の干支(十二支)で、その人の一生の守り本尊(守護神)は決められている。 一代守り本尊と呼ばれる。 酉歳(とりどし)生まれの人の一代守り本尊は不動明王である。 なぜ不動明王なのか、その由来は判らない。 しかし、不動明王の向背の迦楼羅焔を吐き出す迦楼羅(鳥)に因んだものとする俗説もあるという。 酉歳(とりどし)生まれの人から、不動明王に鶏像が奉納されている。 |
栃木県宇都宮市田下(タゲ)町563
JR宇都宮駅より関東バス、大谷・立岩行き「立岩入口」下車、徒歩20分
|
|
鶏(ニワトリ)を彫った大きなレリーフが、参道階段の登り口手前の目立つ位置に奉納されている。
設置場所から、一代守り本尊である不動尊に酉歳生まれの人が奉納したレリーフと思われる。 東京都目黒区下目黒3-20-26 東急目黒線不動前駅より徒歩15分、渋谷・五反田駅よりバス |