〜ウマ(1)  祈願・雨乞いの馬
古来から馬は神の乗り物とされ、古代の祭りや祈願・雨乞いの時などには、
神に「馬」を奉納する習わしがあった。絵馬はその名残でもある。
祈願・雨乞いの馬

古来から、馬は神の乗り物とされ、古代の祭りや雨乞いの時などには、神に「馬」を奉納する習わしがあった。奉納される馬は、当初は生きた馬だったが、次第に木馬や土馬、板絵馬(板立馬)、石・銅像などとなった。


西宮神社境内「神馬舎」の中の神馬
馬は、神の乗り物であることから神馬(シンメ)と呼ばれ、神使として扱われるが、必ずしも特定の神との由縁に基づいて神使とされているわけではない。
広義の「神の神使」といえる。
また、いわゆる「神馬」像は、拝殿前や境内などに一対で置かれる神使像とは別に、単体で華やかに化粧をほどこされ色鮮やかな装具をつけて、「神馬舎」などに格納されているものが多い。

馬(像)はまた、祈願に際しての神への献上品(捧物)としての性格も強い。馬供養もある。奉納も一頭だけの場合も多い。
なお、今日の
「絵馬」は、神に生きた馬を献上して祈願や感謝の意を表した「名残」である。

馬1-1 祈願奉納の馬
初午(ハツウマ)祭のとき稲荷神社に豊作や農耕馬の無事を祈願したり、八幡神社などに武運や開運、商売繁盛、良駒育成などを祈願する際に、馬(像)が奉納された。
神馬として奉納されたのものもあるが、軍馬や馬供養の馬像もある。良馬の産地である東北地方には馬を祀る駒形神社も多い。

落葉城山 妙見寺

有馬温泉を見下ろす落葉山(標高533m)には南北朝のころ落葉山城(有馬城)があったと伝わる。
この跡に明治39年、三代将軍足利義満が捧持した妙見菩薩像を本尊として「落葉山妙見寺(堂)」が建てられた。(日蓮宗)

参道に一対の馬像が奉納されている。
奉納:三宅喜兵衛(大阪市) 「有馬城山 開運妙見宮」
大正5年2月初午(1916)

兵庫県神戸市北区有馬町
バス有馬温泉駅歩25分

西宮神社
恵比寿神を祀る。全国のえびす神社の総本社である。
地元では「えびす神社」「えべっさん」と呼ばれる。
特に十日戎(トオカエビス)は毎年1月10日を「本えびす」として商売繁盛などを祈願するが、百万人を超える参拝者で賑わう。

この拝殿前の馬は、明治32年(1899)11月奉納。

昔、十日えびすの前夜えびす様が乗馬して市中を巡回するとの伝承があり、神馬一頭がある。
この頁トップ参照)

兵庫県西宮市社家町 1-17
阪神線西宮駅歩10分

柏木町・八幡宮
柏木町の鎮守。
津軽地方では、八幡宮をはじめ多くの神社に馬像が奉納されている。
対の場合も単体の場合もある。
この社には、2対の馬像があったがその内の一対。
馬の石像で、明治23年奉納はかなり古い。
(わら)の鐙(あぶみ)が垂れ下がっている。
がっしりとした足太の馬で、足長でスマートな近代馬でないのが好ましい。

奉 納 明治23年6月15日
発起人 須藤長吉他   
石 工 八兵衛門    

青森県平川市柏木町

高田・日吉神社
元享2年(1322)に鎮西探題になった千葉胤貞が比叡山日吉神社の分霊を奉じた社。
現在も高田地区の社として大切に管理されている。
石造りの、立派な馬が奉納されている。
社殿前に、鞍具も彫られた馬像が左右向き合って置かれている。

                   明治41年5月建立

 佐賀県小城市三日月町大字長神田字高田